「大規模直線型マイクロ波プラズマ発生装置」


[大規模直線型マイクロ波プラズマ発生装置の原理と基礎]  

 本プラズマ源はメータ級の大規模で直線型のプラズマをマイクロ波で発生させる装置であり、各種の大面積の基板処理への応用を目的としたものである。 マイクロ波を導波管で伝送させ、導波管モードの長波長特性を利用して大規模に直線上に一様なプラズマを発生させる装置である。 図1(Fig.1)に示されているように、導波管内のマイクロ波波長は導波管の寸法に依存して変わり、TE10モードでは導波管の幅aを狭めると大幅に長くすることが出来る。この長波長のマイクロ波をスロットアンテナを通して放射させ、大規模に直線上のプラズマを発生させるのが本装置の原理である。周波数2.45GHzのマイクロ波電源からテーパ導波管を介してプラズマ生成部スロットから放射させ直線型プラズマを生成する。 導波管最終端にはショートプランジャーを設置し、マイクロ波の位相を調整することが出来る。写真は実際に生成された直線型プラズマの写真を示した。プラズマの長さは2メートルである。一様な直線型プラズマが生成されているのが分る。この写真はマイクロ波電力導入側から見たものであるが、ショートプランジャー側から見た写真でも 両者には差異は見られない。すなわち、一様な直線プラズマが生成出来ることを示している。

 

  [次世代直線型プラズマ源: ECR 直線型プラズマ、大気圧直線型プラズマ]

 ここで紹介した直線型プラズマは次世代型として更に新しいプラズマ源に拡張できる可能性がある。その一つが大規模直線型ECRプラズマである。ECRとはマイクロ波周波数と磁界による電子の回転数を一致させる高密度プラズマ発生法であり、次世代の新プラズマ源として期待できる。図2(Fig.2)にはECRプラズマを生成した時の実験データを示した。マイクロ波放射面からの距離に対するプラズマ電子密度の分布を示したものである。磁界が無いときに比べて明きあらかに 高密度であり、電子サイクロトロン共鳴の発生場所である磁界875ガウスの位置で電子密度が急激に増加入していることから、ECRが効果的に働いていることが分る。このECR直線型プラズマを大規模に生成すれば各種の新規のプラズマ応用分野が開けるものと期待される。
一方、近年応用の拡大が続いている大気圧プラズマに対しても本プラズマ源が大面積処理用として期待が出来る。現在長さ30cm程度の大気圧直線型プラズマを実現しているが、これをメートル級にまで大規模化することは必須である。